皆さんのご家庭では、どのようにお子さんを褒めていますか?数多くの評論家の中には「褒める育児は悪影響だ」と唱える方がいます。しかしそれは本当でしょうか。「正しい褒め方」をしなかった場合、悪影響になり得るのかもしれません。
子どもの性格は十人十色。ママともでは20組以上のご家庭へアンケートをし、NGだった褒め方や成功した方法などを教えてもらいました。「褒める育児」の効果なども含め、ご一読ください。
褒めれば子どもは伸びるのか?正しく褒めた時の効果とは
子どもは褒められることが大好き。大人でも褒められると嬉しいですよね。「褒める」とは「子どもを認める」ということ。様々な能力を伸ばすために、どんどん認めてあげましょう。ただし、むやみやたらに褒めちぎるのはNGです。「現状への満足」や「結果を追い求める貪欲さ」が欠如する原因となり得ます。
では、どう褒めるのが正しいのか。まずは、「褒める」ともたらされる効果についてご説明します。
子どもの褒め方、得られる効果①「自己肯定感(自尊心)の向上」
先にも書きましたが、子どもは親から褒められることで、認められたと感じます。1つ目の効果は、「自己肯定感・自尊心が養われる」です。大人の中でもよく使用される「自己肯定感」とは、自分の存在を肯定的に受け止められる感覚のことを言います。自尊心もほぼ同じ意味ですが、「自分という存在を尊重する気持ち」を指します。自己肯定感が高ければ、感情が安定し、人生で起きるさまざまなことをポジティブに捉えることができます。反対に、自己肯定感の低い人は「自分なんてダメだ」という感覚にとらわれ、ネガティブな思考が強く出るといわれています。子どもの頃から自己肯定感を育むことで、たくさんの人生の壁を乗り越えるポジティブシンキングの力をつけてあげましょう。
子どもの褒め方、得られる効果②「積極性の向上」
自己肯定感が養われ、ポジティブな気持ちが育まれると、何事にも挑戦できる「チャレンジ精神」という名の積極性も同時に育まれていきます。積極性があまりない場合、どの場でも引っ込み思案、自分の意見もなかなか伝えられない、なんてことも。そんな自分への自己嫌悪で、自身を卑下してしまうこともあるかもしれません。積極性があまりないことが一概に悪いとは言えませんし、それも含め個性ですが、いざというときに自分の意見を伝えられる強さを育むことは、教育面だけでなく将来的に保身の意味でも役立ちます。現代社会では必要不可欠な要素と言えるでしょう。
これらの効果を得るには、どんな褒め方で褒めればいいのか。次の段落で説明します。
子どもの正しい褒め方、ポイント3つ
子どもの正しい褒め方①「褒めるタイミングを間違えない」
むやみやたらに褒めないためには、「ここだ!」というタイミングで褒めること。タイミングを逃して、過去のことを引っ張ってきて「あの時、○○できてすごかったね〜!」なんて伝えても、子どもはどうして褒められたのかわからず、褒める効果が薄れます。
ベストタイミングで褒めるには、まずは子どもに関心を持ってください。「関心なんていつも持ってるよ!」と頭で思っていても、きちんと行動できているかどうかは意外と自分ではわからないもの。もう一度、子どもへの関心について思い返すのもいいのではないでしょうか。もちろん「子どもの1分1秒を逃すな!」なんて大変なことは言いません。少しでも気に掛ける時間を増やし、そのとき達成できたことがあればベストタイミングで褒める。これが大切。
子どもの正しい褒め方②「子どもと大人は対等、一緒に喜ぶ感情の共有」
コミュニケーションの本質に大きく関わるのが「感情の共有」。大人の世界でも信頼関係を築く上で、とても大切になってきます。この感情の共有、特に「喜び/嬉しさ」「楽しさ」「面白さ」を共有することは、子どもの褒め方の場合もとても大切になります。
子どもへの褒め方は、ついつい親目線・上から目線になりがちです。ぜひ目線を「対等」「友達」というところまで落とし「えっ!これができたの?!やったね!すごい!」と喜びの感情を全開にして伝えてみましょう。「楽しいね!」「面白いね!」、同じ目線で伝えます。
もちろんこのテクニックは毎回するとなると難しく、疲れてしまいます。ふと気付いた時に、「対等・同じ目線」を意識し、少しずつ感情の共有に慣れましょう。
余談になりますが、子どもが悪いことをしたわけではなく、悲しい出来事があった時は、悲しい気持ちの共有もしましょう。無理に元気にさせるのではなく、一緒に悲しみを感じ、子どものペースで、一緒に立ち上がるサポートをします。
子どもの正しい褒め方③「どこがよかったのか具体的に褒める」
これはとても簡単な基本のテクニックです。子どもに関心を持つことは先述しましたが、そのベストタイミングで「○○ちゃんはこれ(具体的)ができたんだね!すごーい!」「前はこれ(具体的)ができなかったけど、今日はできたね!」と褒めます。
ただし「○○くんよりもうまくできたね」などと他の人を下げる言い方をしないように気をつけて。子どもは親を見て成長します。そのような言い方が元になり、他人を蹴落としたり見下す癖がつきかねません。
子どもの正しい褒め方④「結果重視ではなく、過程を褒める」
時には願った結果ではない結果になることだってあります。子どもは「できない」結果に悔しさを感じ、打破しようと一生懸命に取り組んでいます。時には親の見えないところでも努力していますね。結果を褒めることはとても簡単ですが、時には頑張っている過程も褒めましょう。「○○くんは一生懸命勉強したよね」「諦めなかったのがえらい、すごいよ」、ぜひ声をかけてあげてください。そして次回のチャレンジへの糧にしましょう。
子どもの正しい褒め方⑤「感謝の気持ちを伝える」
「ありがとう」という言葉は、褒め言葉にもなります。「〇〇ちゃんが手伝ってくれたからできたよ、ありがとう」と、子どもの存在・行動を認め、感謝を伝えましょう。「人のために何かを手伝い、感謝される」という喜びの気持ちを育むことができます。親も「褒めるぞ褒めるぞ」と意気込むのではなく、子どもを一人の人間として捉え、手伝ってくれた行為に素直に感謝する、心から感謝する、というのがポイントです。
では、ここからは20組以上のご家庭に聞いた「褒め方」の成功例と「NGだったこと」を紹介します!
各ご家庭での子どもの褒め方!効果的な成功例&失敗NG例
20組以上のご家庭へアンケート!子どもの褒め方【成功例】
①感謝を伝える
- 褒めるというより、感謝の言葉をかけます。
- 何かしてくれたら、ありがとう・嬉しいと伝えます。
②拍手喝采、べた褒め大会
- 出来た瞬間に夫婦で拍手喝さいして褒めちぎる。
③ささいなことも褒める
- 当たり前のこともたくさんほめます。
- いいと思ったことは、小さなことでもサラッと褒めます。
- 本人が「できた」と思っている様子の時は、とりあえずほめて一緒に喜ぶ。
- ダメなこと以外は本人の申告に従って何でもほめています。
- まず取り組もうと思うことを褒めています。
- 気がついたことは些細なことでもなるべく口に出して褒めるようにしている。
④逆に意外なところを褒める
- 逆に意外なところを褒めてあげると、そのときは本人は「なんで褒められたんだ?」と思っている様子ですが、それはそれで功を奏しました。
⑤兄弟や姉妹がいる場合は他と比べない
- 他の人や兄弟と比べないことが大切です。
- 子どもが3人いるので、他の2人にはない良い特徴を言うようにしています。これが一番効果的。
⑥褒めてほしいサイン、言ってもらいたいことを汲み取る
- 子どもは会話の中で褒めてほしいサインを出しているので、そんなタイミングだと「また頑張って」というあっさりした一言でも満たされている様子が伺えた。
- 子どもの発する「かっこいいでしょ?」など、どのような言い回しをすると褒められていると認識するのかを拾う。
⑦叱った後のフォローが大切
- 褒めると叱るはセットのようなこともあります。「こらー!」と怒った後「…でも〇〇ちゃんらしいね、あはは。」と笑って流すことをしていました。
⑧具体的に褒める
- 心がけていたのは「率直に思っていることを言う」「具体的なことをほめる」です。簡単なことでも褒めちぎっていると、子どもから「親バカ」だと言われてしまうこともあるので、時には「友だちのお母さんに言われた」「おばあちゃんが言っていた」など、ほかの人からほめられた話を子どもにしますね。
- 絵を描いていたら「このお魚の色がいいね」「大きい絵だね、かっこいいね」と具体的に褒める。少しでも何かが上達したら、本人が気づいていなくても褒める。
- すごいね、や、上手だね、だけでなく具体的な内容に触れるようにしています。例えば、手紙をくれた時に、「ひらがなたくさん書けるようになったね。」とか。
⑨褒める、ではなく楽しく続けられるような工夫をする
- 褒めるのではなく、楽しくやる事・続けることを重視しています。継続していることをシールなどで可視化すると、本人も楽しんで取り組みます。
⑩結果だけではなく過程に目を向ける
- 結果ではなく、過程から目を向け、褒めるだけではなくまずは話を聞く。
20組以上のご家庭へアンケート!子どもの褒め方【失敗NG例】
①心から思っていないと、嘘だとバレる
- 露骨に褒めて、嘘っぽくとられたときがありました。
- やはり心から思って褒めないと…バレます
- 「すごい」「えらい」の安売り。子供はそう言ってもらいたくて、都合の悪いことは言わなくなる。
- わざとらしいほめかたは見破られました。
- 簡単なこと(本人が簡単だと思っていること)を褒めると、「そんなのできて当たり前」や、まさかの子ども本人に「親バカ」などと言われる。
- 忙しくしている時に片手間で対応したとき。ちゃんと見て!!と叱られました。
②メリハリをしっかりつければと良かったと後悔…
- 飴と鞭が大切だったかも。目標達成したら、褒美とか、すれば良かったかと。
- しつこく褒めるとやる気を失いました。
- 過剰な褒めすぎは逆効果。やたらに褒めても当たり前になり、ちょっと失敗しただけで落ち込むような人間になってしまう。
- うちはご褒美シールとかスタンプラリーとか色々やっても結局続かなかったです
③結果重視で失敗した…
- 結果だけを褒めてしまうのはNGでした…努力した課程をほめる方が良いと思う
④性格が恥ずかしがり屋?プライド?
- 同級生の前で褒めると嫌がられます。
⑤難しい言葉は伝わらない
- 難しい言葉を使って褒めた時は褒められたことが理解でなかった。
「正しい褒め方で子供のやる気を伸ばす!各家庭の成功例やNG例も紹介」まとめ
この記事でお伝えした褒め方で得られる効果とは、「自己肯定感(自尊心)の向上」と「積極性の向上」でした。また、正しい褒め方とは「褒めるタイミングを間違えない」「子どもと大人は対等、一緒に喜ぶ感情の共有」「どこがよかったのか具体的に褒める」「結果重視ではなく、過程を褒める」「感謝の気持ちを伝える」の5つのテクニックを用いたもの。
しかし、冒頭でお話ししたように、子どもの性格は十人十色。兄弟でも全然性格が違うと言います。ご紹介したテクニックや経験談がすべて、お子さんにぴったり当てはまることはなかなかありません。しかし、長く続く子育ての中で、いくつか試してみる価値はあるでしょう。
この記事でお伝えしたことが少しでも育児のお力になれれば幸いです。