子育てに欠かせない「絵本」。絵本の読み聞かせは、子どもの成長や親子間コミュニケーションなどに、さまざまな効果があります。この記事では、読み聞かせの効果と、絵本を選ぶコツについてご紹介します。年齢別おすすめ絵本もまとめて掲載していますので、絵本を選ぶ際の参考にされてみてください。
絵本を読むと何が良い?胎教絵本や読み聞かせの効果
まずは、絵本の効果について説明します。より詳しく胎教絵本の効果についても解説しますので、絵本を選ぶ際の参考にしてください。
親子でコミュニケーションがとれる
子どもが小さいうちは、一人で本を読むのは難しいです。そのため、親が絵本を読むことによって初めて、子どもは絵本の世界に触れることができます。絵本の読み聞かせをすることは、同時に親子でコミュニケーションをとることにつながります。
想像力・語彙力・読み書き能力が高くなる
教育・社会系心理学を専門とする内田伸子教授の研究(※)によると、
「読み聞かせ体験の多い子どもでは、語彙力と読み書き能力が高い」
内田伸子(2017)「学力格差は幼児期から始まるか?:――経済格差を超える要因の検討――」教育社会学研究(No.100,p108-119)
という結果が出ています。また、幼児教育を専門にしている尾崎恭子さんによると、
「読み手が感動を持って読み聞かせをすることで、子どもの想像力が育まれる」
尾崎恭子(2005)「幼児の精神発達と絵本」中国学園紀要 (No.4,p 61-67)
と言います。絵本の読み聞かせを生活に取り入れることは、子どもの心の発達・学力向上をサポートする力になるでしょう。
絵本を読んだ後に眠るという習慣が身につく
寝る前に、毎日同じ行動(=ルーティン)をすれば、「絵本を読んだら、明かりを消して寝る」という習慣がつきやすくなります。「おやすみ」などの言葉で終わる本や、静かな場面展開のお話は、子どもの眠気を妨げないのでおすすめです。
胎教では赤ちゃんの脳や感受性が発達する
赤ちゃんは、早くて妊娠24週目ごろから聴覚的な刺激に反応します。生まれたばかりの赤ちゃんは、いつもおなかの中で聞いていたお母さんの声を覚えています。お母さんがリラックスした状態になると、さまざまなホルモンが分泌され、へその緒を通じて赤ちゃんに伝わります。そのため、発達によい影響があると言われています。
絵本の選び方のコツは?
ここからは、読み聞かせ絵本を選ぶ時のコツについて解説します。
「親子で一緒に楽しむ」を前提に選ぶ
絵本は、親子でコミュニケーションを取るためのツールです。そのため、読み聞かせのための絵本を選ぶ際は、 「親子で一緒に読んで楽しめる絵本かどうか」というのを前提にして選びましょう。大人も一緒に楽しめるものを選ぶことで、絵本の読み聞かせを習慣にしやすくなります。
声に出したときに美しい・楽しい文章の本を選ぶ
絵本の中には、子どもが喜ぶような「繰り返し」や、韻を踏むように構成されたものがあります。まだ文字の読めない子どもが、絵本の文章の響きを気に入って、暗唱することも。読み聞かせなど声に出すのを前提にするときは、音読してみて美しい・楽しい文章で書かれた絵本を選ぶことをおすすめします。声に出して読み上げることで、絵本のテンポのよさを感じることができるでしょう。
豊かな表現力で描かれている絵
表現が豊かな挿絵は、子どもが絵本をより深く理解するサポートをしてくれます。わからない言葉がでてきても、挿絵の力で絵本の世界を楽しむこともできます。繊細で美しい絵や、お話の世界観を表現する力強い絵など、様々なタッチの絵に触れさせてあげましょう。
主題がしっかりしている
主題がしっかりとしていてわかりやすい本だと、子どもも絵本に親しみが持てます。まだ年齢が小さいうちは、食事や睡眠、着替えなど、日常生活をテーマにした内容の方が興味を持ちやすいです。 登場人物と自分を重ねて感情移入すると、絵本のテーマに沿って、絵本の内容を擬似体験できます。
年齢別・おすすめの絵本紹介
ここからは、年齢別におすすめ絵本をご紹介します。
【0~1さい・赤ちゃん】おすすめ絵本
最初は、0~1さいの赤ちゃんにおすすめの絵本をご紹介します。
うたえほん
絵: つちだ よしはる
出版社: グランまま社
本体価格: ¥1,500 +税
1988年発行以来版を重ねるベストセラー。 「ぞうさん」「どんぐりころころ」など全26曲が楽譜とともに掲載されています。お父さん・お母さんが絵本を見せながら、歌ってあげることで、親子でコミュニケーションが取れます。「きいろいばけつ」で知られるつちだよしはる氏のあたたかい挿絵付き。
くだもの
作: 平山 和子
出版社: 福音館書店
本体価格: ¥900 +税
すいか、もも、ぶどう、なし、りんごなどのみずみずしい果物。まるで本物のように描かれた鮮やかな果物と、それを切ってお皿にのせる様子が、豊かに表現されています。読んだ後には、親子で食べる真似をしたり、ごっこ遊びをしてもいいですね。
【2~3さい】おすすめ絵本
次は、2~3さいの子どもにおすすめの絵本をご紹介します。
おおきなかぶ
作: A・トルストイ
絵: 佐藤 忠良
訳: 内田 莉莎子
出版社: 福音館書店
本体価格: ¥900 +税
ロシアの昔話絵本。「うんとこしょ どっこいしょ」のフレーズで子どもたちに人気です。かぶを実際に抜く真似をしたり、家族で大合唱するというおうちも。力を合わせることの大切さをテーマにした絵本です。
かばくん
作: 岸田 衿子
絵: 中谷 千代子
出版社: 福音館書店
本体価格: ¥900 +税
ねぼすけのかばくんが、のんびりと動物園で一日を過ごすお話。「やあ かばくん」「やあ かめのこ」詩のような心地よい文章は、声にだして読んでもとても心地よく感じられます。読んでいる側までゆったりとした雰囲気になれる絵本です。
【4~5さい】おすすめ絵本
ここからは、4~5歳の子どもにおすすめの絵本をご紹介します。
ねえ、どれがいい?
作: ジョン・バーニンガム
訳: 松川 真弓
出版社: 評論社
30年近く愛されるベストセラー作品。主人公の小さな子どもが、奇想天外な質問をたくさん投げかけてくるお話です。「ジャムだらけになるのと、犬に引っぱられてドロンコになるのと、どれがいい?」子どもと一緒に、思わず真剣に考え込んでしまいます。親子で「どれがいいかな?」と話して、イマジネーションが広がる絵本です。
おしいれのぼうけん
作: ふるた たるひ たばた せいいち
出版社: 童心社
本体価格: ¥1,300 +税
1974年発売のロングセラー絵本。保育園でミニカーの取り合いをして、先生に叱られたさとしとあきら。押入れに入れられますが、そこで地下の世界のねずみばあさんに追いかけられて…。ちょっと怖い大冒険の物語で、想像力が広がります。
【6さい~】おすすめ絵本
ここからは、6さい以上の子どもにおすすめの絵本をご紹介します。
りんごかもしれない
作: ヨシタケシンスケ
出版社: ブロンズ新社
本体価格: ¥1,400 +税
テーブルの上にりんごがおいてあった。…でも、もしかしたら、これはりんごじゃないかもしれない。もしかしたら、大きなサクランボのいちぶかもしれない。そだてるとおおきな家になるのかもしれない…一つのりんごから果てしなく想像を広げる発想絵本です。
おこだでませんように
作: くすのき しげのり
絵: 石井 聖岳
出版社: 小学館
本体価格: ¥1,500 +税
家でも学校でも怒られてばかりの男の子の、心の中を描いた絵本。宿題ができなかったのは、妹と遊んでいたから。言いたいことはあるけど、ぐっとこらえます。そんな男の子が、七夕の短冊に書いた願いごととは?子どもの揺れ動く心を、子どもの視点で描いたお話です。
テーマ別おすすめの紹介
ここからは、テーマ別におすすめ絵本を6冊ご紹介します。絵本を選ぶ際の参考にされてみてください。
雨を楽しむための絵本『雨、あめ』『かさ』
まずは、雨の日が楽しくなる絵本をご紹介します。
雨、あめ
作: ピーター・スピア
出版社: 評論社
本体価格: ¥1,400 +税
文字のない、挿絵だけで構成された絵本。雨の中、お姉ちゃんと弟が、雨具に着替えて外に出ます。雨宿りしているうさぎを見つけたり、雨どいから落ちる水で遊んだりして、雨降りを堪能する2人。雨の日に感じるわくわくした気持ちを、美しいタッチで描いたお話です。
かさ
作・絵: 太田 大八
出版社: 文研出版
本体価格: ¥1,100 +税
赤い傘をさした女の子が、黒い大きな傘を抱えて、お父さんを駅まで迎えにいきます。池のカモを眺めたり、すれ違う友達と挨拶する道中が、丁寧に描かれています。文字は無く、絵は女の子の傘以外黒一色。いつまでも印象に残る、味わい深い絵本です。
のりものに関する絵本『せんろはつづく』『ピン・ポン・バス』
ここからは、子どもが大好きなのりものの絵本をご紹介します。
せんろはつづく
文: 竹下 文子
絵: 鈴木 まもる
出版社: 金の星社
本体価格: ¥1,200 +税
小人たちが、野原に線路を組み立てます。野原に山があったらトンネルを堀り、道と交差するところでは踏切を作るなど、問題を次々に解決して進みます。最後はみんなで列車に乗り込み、線路を走らせて大喜び。小人と一緒に線路を作っている気持ちになれて、想像力を広げられるお話です。
ピン・ポン・バス
作: 竹下 文子
絵: 鈴木 まもる
出版社: 偕成社
本体価格: ¥1,000 +税
駅から出発する路線バスを丁寧に描いた絵本。スーパー、学校、病院など、バスは様々なバス停で停まります。バスに手を振る子どものために少しスピードを落とす運転手さん。どこか懐かしく、あたたかい気持ちになれるお話です。
おやすみに繋がる絵本『おやすみなさい おつきさま』『おかあさんがいちばん』
ここからは、おやすみ前の読み聞かせにぴったりの絵本をご紹介します。
おやすみなさい おつきさま
作: マーガレット・ワイズ・ブラウン
絵: クレメント・ハード
訳: せた ていじ
出版社: 評論社
本体価格: ¥1,200 +税
アメリカだけで1000万部以上発刊される世界的ベストセラー絵本。子うさぎが、自分の大好きなものたちにおやすみの挨拶をしてまわります。「おやすみおへや」「おやすみおつきさま」穏やかな気持ちになれて、優しい眠りを誘うお話です。
おかあさんがいちばん
作・絵: バレリー・ゴルバチョフ
訳: 那須田 淳
出版社: 講談社
本体価格: ¥1,600 +税
5人兄弟の末っ子うさぎ・ニックは、怖がり屋。ニックの恐怖は兄弟たちにも伝染して、もう眠れません。そこで、お母さんは子どもたちを安心させるために一芝居打つのですが…。寝る前に「お母さんは頼りになる」「お母さんが大好き」と子どもが再認識できるお話です。
『子どもにぴったりの絵本探し!効果や選び方も紹介【年齢・テーマ別】』まとめ
いかがでしたでしょうか。親子で同じ絵本を読むことで、積極的に子どもとコミュニケーションを取ることができます。また、絵本で知らない世界を知ることは、想像力や語彙力を伸ばすことにも役立ちます。まずは、お父さん・お母さんが気になった本から読んでみて、子どもと楽しい時間を共有することから始めてはいかがでしょうか。