「習い事も勉強も最初は楽しそうだけど続かない」「他の家ではどんな風にやる気を引き出す工夫をしているの?」こんな風にお悩みの親御さんへ、飽き性のメカニズムから他の過程で行われている具体的な対応方法、NGのアプローチ方法などを紹介いたします。
どうして飽きるの?飽き性の子どものメカニズムについて
飽き性の子どものメカニズム
まず、「飽き性」とは脳がどのような状態にあるのか説明します。子供だけでなく自分も飽き性だと思っている方は安心してください。人間の脳はもともと飽きっぽいようにできています。脳は連続的に適度な刺激がないと、すぐに色々な物事に飽きてしまいます。これは、脳科学的に見て仕方のないことなのです。また、もともと人間の集中力は「年齢+1分」だと言われています。5歳児は(5+1分)で6分です。こんなに短いということを念頭においてください。さらに、そこに「嫌悪感」などが加わると、行動力の元となる「やる気」すらも失われます。それでは、やる気が失われるのはどのような時でしょうか。説明します。
「強制」してしまうとすぐに飽きてしまう
大人でも仕事などで「自分でやりたいこと」と「やらされていること」を分けたら、明らかにモチベーションが変わりますよね。子供も一緒です。無理矢理にやらされる状況に「やる気」はなかなか付いてきません。例えば勉強を強制された場合、やる気が伴わないと「回答スピードが遅い」「解答を写して書いてしまう」「適当に勉強に取り組んでやり過ごす」「学びにつながらない」等の問題が起きていきます。
また、「やる気を出させるため」の動機付けにも気をつけないといけません。動機付けには「外発的動機付け」「内発的動機付け」の2種類があり、前者の外発的は、「これをやらないと怒るよ」「これができたらご褒美をあげるよ」と強制感や外側からの刺激で成り立ちます。後者の内発的は、自身の興味・関心から「学びたい」「上手くなりたい」「行動したい」と思い、行動につながる動機づけです。2種類のうち、内発的動機づけの方をより意識して子供へ活用してもらいたいです。なぜなら「強制」が植え付けるのは嫌悪感であり、またやる気も失う可能性があります。ご褒美制度も、続けるほどに相手の要求も増え、ご褒美レベルを上げざるを得ない、もしご褒美がなくなればやる気は無くなる、という状況に陥りがちです。今後も習い事や勉学を続ける上で、ふさわしくない動機付けになってしまうので、ご褒美作戦はたまに実施することが賢明でしょう。たまにやる分には、新鮮な効果が得られます。
では、やる気を損なわないように、脳が飽きないようにするためにはどうしたらよいのでしょうか?
飽き性の子供にすぐできる対応や工夫
子供の飽き性への対策として、頭に入れておくべきは「短く、何度も、長期間」ということ。それを念頭に、ここで紹介する3点をぜひ取り入れてみてください。
勉強や習い事へ没頭できる環境を整えてあげる
勉強も習い事も、まっすぐに取り組める環境づくりを意識しましょう。学習机の整理や、時にはリビングなどの親が見守れる場所での勉強を進める。完全に静かだと音を拾おうとする耳の修正が働いてしまうので、少し音楽や雑音を流しておく。目の前で勉強に取り組む場合は、親も一緒に取り組む姿勢を見せて、集中する時間を習慣づけさせる。習い事の場合は、習い事の練習が家でも簡単にできるようにスペースを設ける。憧れの選手やプレイヤーを作らせ、実際に会いに行ってみる。どんなことをその日に行ったのか、丁寧に話を聞いて、褒めてあげる。
できることは山ほどありますね。ぜひ取り入れてみてください。
短時間でクリアできるよう時間を設定し、日々取り組む
環境を整えた後は、短期集中型で勉強や習い事を続けさせていきます。集中力が短い子供には、あらかじめ「じゃあこれ、15分頑張ろう」「20分で終わらせよう」と少しゲーム感覚に短時間で進めていくように指導していきます。達成感は、「次も頑張ろう」という自信につながります。また、このような取り組みを毎日とは言わずとも、週何日か続けていくことは、短い時間で何度も頭に刷り込まれていき、とても学びにつながります。親御さんは家事などで忙しいことはありますが、無理なくできる範囲で、勉強や習い事に付き合っていくことが、学びには大切です。
ゴールを節目節目に設定して達成感を感じさせる
最後に、目標(マイルストーン)のセットです。長期間続けてもらうための取り組みになります。マイルストーンとは、物事の進捗を管理するために途中で設ける節目のことを言います。もとは道路などに置かれ、距離を表示する標識からきています。会社などで長期間にわたるプロジェクトなどで使用されることが多いです。このマイルストーンを子供と一緒に設定するのです。
例えば、何か大会に参加することになったら、「大会までに何ができるようにならないといけないのか」を一緒に考えます。子供と一緒に、わくわく考えてください。「来週はこれをできるようにする」「再来週はこれを」と細かく決めていきます。乗り越えられるレベルでセットするのがコツです(乗り越えられないとやる気を失います)。あとは、毎週細かく目標に向かって、親子一緒に取り組みます。お互いにストレスがかかりすぎないよう、「楽しくやる」前提でセットしてください。
子供の飽き性改善のため奮闘する各ご家庭の経験談
最後に、独自アンケートで各ご家庭に聞いた「飽きさせないための工夫や経験談、苦労話」を紹介します。
「物事少しでも気に食わないと、まるで親の言うことを聞かなくなることが何度もありました。勉強なども放棄です。そんなときは、まずは子供を落ち着かせて、色々と話を聞きながら、子供が納得するまで、話しました。」
「小学校高学年から中学1年はとにかく計画性がなく、勉強をしない。スマホという最強の武器が手に入ってからはスマホに時間を支配されています。スマホとの共存を考え、ルールの制定や浸透に本当に手がかかる。」
「幼少期の子供へは、まずは続かないやきもきした気持ちに共感する→子どもの希望を聞く→親ができることを提案するという流れが比較的成功しました。擦り合わせていくことは大切です。」
「うちは、常に機嫌を取っていないと何も(習い事、勉強、生活全般)やらないです。困っていますが結局一番簡単なご機嫌を伺うことばかり…」
「成功した対応策はパパに褒めちぎってもらう(常に)でした。あとは、親が子供と一緒にとにかく取り組む。スモールステップでちょっとずつ進める。しかし、スモールステップが連続すると、ステップ1個に満足して次をやらなくなるので、そこも学びでしたね。」
「勉強しない、いつでもどこでも本を読む(辞められない)、毎日YouTubeを見たがる子供でした。なので、勉強は早朝の定期メニュー化。帰ってきてからは宿題のみのリズムを慣れさせました。いつでもどこでも本と生きるスタイルは未だ変えられず。YouTubeは時間を決めて見せていました。」
「飽き性に関係しているかはわかりませんが、子供自身の自分の想いと周りとのギャップに悩む思春期真っただ中で、本人も苦しんでいました。そういうときは必ず時間を取り、話を聞きいました。何時間でも!絶対に他人と比べてはいけないというルールを親の中に作りました。」
「飽き性の子どもへの対応方法!やる気の引き出し方・持続させるには」まとめ
最後に、この記事でお伝えしたことについてまとめます。そもそも脳は飽き性な作りでできていますが、やる気を損なう要因もくっつくと、さらに機能しなくなります。改善のためには、「環境を変える」「短時間集中をさせる」「超えられる目標をつくり達成感を味あわせていく」という方法をご紹介しました。
この飽き性、ネガティブなことばかりではありません。たくさんの可能性を秘めた子供が物事に飽きるということは、「自分を変えるチャンス」をたくさん持っていると同じです。大人になると、自分を変えるチャンスはどんどん減ります。今のうちに、たくさんの経験に触れさせていくことはとても大切です。ぜひ子供の世界を広げるサポートをしてあげてください。
子どもの性格は十人十色。試行錯誤はつきものですが、いろいろな工夫を凝らし、子どもにあった方法で努めましょう。今回ご紹介した内容が、少しでも子育てのお力になれれば幸いです。