日本の算術や江戸の風情に親しむ「和算に恋した少女」は小学生でも大丈夫?

お勉強の苦手にも凸凹がある長女は、マンガならなんでも食わず嫌いせずに読んでくれます。そこで学習要素があるマンガは片っ端から試すことに!今回挑戦するのは「和算に恋した少女」です。算数への興味の扉が開けるかも?と期待しながら購入しましたが、長女の反応はいかに?

「和算に恋した少女」の概要と読める年齢

まずは「和算に恋した少女」の作者や購入先などの概要をご紹介します。

タイトル和算に恋した少女
作者中川真/風狸けん
出版社小学館
掲載雑誌ビックコミック増刊号/ビックコミック
既刊数3巻 完結済み
購入先Amazonや書店など
価格607円

和算に恋した少女が連載されていたのは「ビッグコミック増刊号」や「ビッグコミック」です。これらの雑誌は青年誌ではありますが、「和算に恋した少女」は小学生に不適切な表現はほぼ見受けられませんでした。ただし難読漢字以外はルビが振っていないので、小学2年生以上でないと厳しいのかなという印象です。表現や漢字が気になる方は、こちらの小学館の公式サイトから試し読みできますので、チェックしてみるとよいですよ。

我が家では「小学4年生の長女なら読める。1年生の次女は無理」と判断して、小4の長女だけに読んでもらうことにしました。

「和算に恋した少女」のあらすじと学べることをざっくり説明

「和算に恋した少女」の舞台は江戸。和算という日本独特の数学の才能を持つ少女 律と奉行所の同心がタッグを組んで和算を活用して事件を解決するというストーリーです。基本的に1話完結で、すっきりとした読後感があります。

「和算に恋した少女」は人間よりも謎解きにフォーカスしている印象で、読者も一緒に考えられるスタイル。以前ご紹介した「はじめアルゴリズム」は数式等の詳細には触れずストーリーや登場人物の才能に引き込まれるタイプのマンガでしたが、「和算に恋した少女」はしっかりと数学的な考え方が登場します。1巻では、円周率の基礎や直角三角形の性質など、小学校の算数で習う概念が紹介されていました。

主人公がすぐに謎を解くのではなく、ちょっとしたきっかけでコツがわかって謎が解けることが多いため、読者もじっくり考える時間があります。逆に言うと「これはどうやって解くんだろうか」と考えさせられるため、私の眉間には軽くシワができてしまいました(笑)。小学生でもじっくり思考できる子は楽しく解けそうですが、低学年にはちょっと難しそう。

「和算に恋した少女」で学べることは以下の通りです。我が家で読んでみた感想ですので、参考までに。

  • 江戸時代の役職や制度
  • 江戸時代のお金の数え方や尺貫法
  • 割り算の九九
  • 江戸時代の風情

「和算に恋した少女」では寺町奉行や南町奉行といった当時の行政や司法を司っていた役所や、そこで働く同心が登場します。江戸時代の暮らしの様子もわかりますので、「江戸時代ってこんな感じだったんだ」という雰囲気は掴める気がしました。

またお金の数え方や3尺が180cmといった単位も登場しますので、「江戸時代は今と違う単位を使っていたこと」もわかります。割り算の九九も紹介されています。

江戸時代の暮らしや和算という学問があることを知るきっかけになるマンガだなと感じました。和算や算数への興味のきっかけになるかどうかと聞かれると正直いって少し微妙かもしれません。とくに小学生にとっては初めて目にする言葉が多く、謎解きまで気が回らないのでは?という印象。数の単位や和算ならではの用語だけでなく、江戸ならではの役職や言葉使いに気が取られてしまい、すんなりと算数の知識が頭に入りにくいかもしれません。

小4長女の感想「割り算の九九、意味がわからない!難しい!」

マンガなら食わず嫌いをしない長女に「和算に恋した少女」を読ませたところ半分も読まないうちに「難しい……」と読み終えてしまいました。

なにが難しかったのか聞いてみたところ、「割り算の九九がまったく理解できない」とのこと。たしかに割り算の九九が「二一天作の五」といわれてもなんのことかさっぱりわかりませんよね。マンガの中ではきちんと説明されていたのですが、私も少し混乱してしまいました。

また「誰が誰だかわからない」とのこと。確かに主人公の律はいいとして、男性陣はみな同じ髪型だから顔と名前を覚えることが苦手な長女にとっては区別が難しかったようです。「あさきゆめみし」を読んだときも同じようなことを言っていたので、時代物・歴史物は長女にとってはハードルが高いのかもしれません。

「和算に恋した少女」のまとめ!

「和算に恋した少女」は江戸時代の風情や和算という学問の存在を知るにはよいマンガだと感じました。1話完結型の謎解きミステリーなので、名探偵コナンやおしり探偵にハマっている子ならぐいぐい読めるかも!我が家の長女にはちょっと早すぎた感はありますので、小学校高学年以降の子どもに読んでもらうといいかもしれません。