音楽の世界を勉強できる漫画「のだめカンタービレ新装版」

「のだめカンタービレ」はドラマで大人気だったので、ご存じの方も多いと思います。今回はその原作、漫画「のだめカンタービレ」のご紹介です。

私も「のだめカンタービレ」が大好きで、いつか娘(小5)にも読んでもらいたいなと思っていました。音楽やピアノが好き。片付けが苦手。食べるのが大好き。主人公の野田恵(通称のだめ)と娘には共通点がいっぱいだったからです。予想通り気に入ったらしく、一度ページをめくると娘は夢中になって読んでいました。

「のだめカンタービレ 新装版」とは

「のだめカンタービレ」は2001年から2010年にわたって連載されていた漫画で、著者は二ノ宮知子さんです。連載20周年の際、新たに「のだめカンタービレ 新装版」として出版されました。新装版の1巻には、当時出版されたコミックの1・2巻分に加え、書き下ろしの漫画も収録されています。そのため厚みもあり、B6サイズで少し大きめです。Amazonで1,320円で購入しました。

カバーは新装版用に書き下ろされて、とても美しい表紙に生まれ変わっています。グランドピアノの周りの散らかり具合が、主人公「のだめ」らしく、可愛らしさで溢れています。

音楽用語を身近に感じるように!

「のだめカンタービレ」は学園クラシック・コメディで、音大生たちのお話です。

指揮者への夢を諦めかけていたエリート音大生、千秋真一と、同じマンションの隣の部屋に住んでいる野田恵、2人が中心となって話は進んでいきます。

千秋はある日酔っぱらったまま、のだめの部屋で寝てしまいます。寝ながら聞こえてきた曲はベートーヴェン、ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」です。それは千秋が以前、大学構内で聞いた事のあるピアノの音でした。最初デタラメに聞こえたけれど、実はすごく上手なピアノ。それがのだめのピアノでした。

「カプリチオーソ カンタービレ」とは、千秋が、のだめのピアノを聞いた時の感想です。「気ままに気まぐれに 歌うように」という意味です。その音楽用語が、この漫画のタイトルにもなっています。

娘が弾いているピアノの楽譜にも、「カンタービレ」という音楽用語が出てきます。「カンタービレってどういう意味だったっけ?」と、よく忘れていましたが、漫画のおかげでしっかり覚えられそうです。音楽用語は難しく数も多いので、自然に覚えられるのは嬉しいです。

クラシック音楽への興味を育てる

漫画の内容はかなりコメディ色が強く、ストーリー自体とても面白いです。しっかり音楽の勉強をしよう!という雰囲気ではないのですが、主人公たちの会話や背景、設定には、しっかりクラシック音楽が溶け込んでいます。

漫画のカバーをめくってみてびっくりしました。この巻に出てくるクラシックの曲名や、作曲家が書かれています。全部で10曲もありました。こんなところに隠されるように紹介されているなんて、面白い演出だなと思いました。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」は2人を繋いだ運命の一曲と紹介されていました。千秋が初めて聞いたのだめのピアノ曲です。娘も初めての舞台で「弾きたい」と言ったのが「悲愴」でした。まだ低学年で弾けませんでしたが、思い入れのある曲なので、なんだか嬉しくなりました。「悲愴」という曲名だけではメロディが思い浮かばない方も、きっと聞けば「ああ!」と思い出すような、有名曲ではないかと思います。

また、千秋とのだめの連弾曲が分からずYouTubeで検索してみたところ、「聞いた事あるね!」と親子で思い出し、会話もはずみました。漫画を読むだけでも、もちろん楽しいのですが、出てきた曲を一つ一つ聞いてみると、更に楽しめると思います。

モーツアルト「魔笛」夜の女王

この漫画に出てくるクラシック音楽はピアノ曲だけではなく、ジャンルも多岐にわたっています。

千秋の元カノ、声楽科の彩子が「ブー子に夜の女王をとられた!」と嘆くシーンがあります。娘にはとても強烈だったらしく、「血のにじむような努力をしたのに、ブー子にとられるって!」と、楽しく読んでいました。ここで出てくるのはモーツアルトの「魔笛」です。「夜の女王はソプラノの主役」というイラストで紹介されていました。「魔笛」というオペラの名前は娘も知っていましたが、どんな楽曲かはすぐに思い出せません。ですが今回、娘はブー子ちゃんの話がとても気に入っていたので、もう絶対忘れないだろうなと思うと、ちょっと可笑しくなります。

他にもヴァイオリン・ソナタや、オーケストラの楽曲も出てきます。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ「春」の伴奏を、のだめが頼まれる場面がありました。こちらも知る機会が今までありませんでしたので、聞いてみると、とても美しい曲です。「伴奏のピアノだけより、やはりヴァイオリンが入ると全然違うね」と、話をしました。

「のだめカンタービレ」は読み進めていくと、オーケストラの話になっていきますので、交響曲も多く出てくるようになります。幅広くクラシック音楽を知る機会になったらいいなと思います。

作曲家・曲の背景・楽器

モーツアルトがどういう状況で曲を作ったか、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの背景等、本で調べるのは難しそうな内容も、簡潔にキャラクターが喋ってくれるシーンがあるので、それもとても分かりやすいです。

楽器も、ピアノはもちろん、ヴァイオリン・ティンパニー・ヴィオラ・チェロ・クラリネット・ホルン・オーボエ、他にも数々の楽器が漫画の中で描かれています。各話の扉絵では「この楽器は何だろう?」と思うような楽器を、のだめが弾いていますので、楽器を調べてみるのも面白そうです。

漫画「のだめカンタービレ」は音楽に興味がもてるような仕掛けがいっぱいでした。ドラマを知っていても、そうでなくても、楽しみながら音楽の知識を得られると思います。