深海の生き物の生態から理科を勉強!漫画「マグメル深海水族館」

「マグメル深海水族館」は深海の生物を間近で見ることができる、世界唯一の深海にある水族館の物語です。その水族館で清掃員のアルバイトとして働く主人公、天城航太郎は深海に住む生物が大好き。

太陽の光も届かない深海は、今でもまだ未知の世界です。実際、「月」よりも「深海」に行った人の方が少なく「宇宙より遠い」と言われています。

「マグメル深海水族館」は、この深海に住む生物の物語が一話完結で紹介されながら、主人公 天城航太郎の成長の物語という側面も持っています。

生き物好き、物語好きの我が家にぴったりの一冊でした。

「マグメル深海水族館」とは?

「マグメル深海水族館」は、もともと生き物が好きだった作者 椙下聖海さんが「いつか深海を漫画に書きたい」と温め続けて、2017年に「ゴーゴーパンチ」で発表されました。

2022年11月現在、コミック8巻で完結しています。

深海生物を描きたいと考えていた作者が編集者の「椙下さんの理想の水族館はどこですか?」との問いをヒントに、作者の理想ではあるけれど実際にはない「海の中にある水族館」を描くことになりました。

徹底的に描きこまれた生物の美しさや地上の生物とはまた違う造形は、読者の目を楽しませてくれます。

深海魚ブームの火付け役となった石垣幸二さんを監修に迎え、一話ごとにその話に登場した深海生物を詳しく解説しています。生物への理解も深まる一冊です。

「沼津港深海水族館」に行った双子は「深海」に興味津々

我が家の小6男子双子は、絵の繊細さ、描写の細かさにまず引き込まれました。待ちきれないので、二人で同時に読んでいます。

漫画の中のマグメル深海水族館は電車で行ける深海の水族館です。電車から降り、エレベーターに乗って深海へと潜っていきます。そのビジュアルを想像するだけでワクワクするはずです

エレベーターでたどり着いた先は薄暗い海の中。

海の生物を観察できる水族館は世の中にたくさんありますが、それは水槽の中の話です。実際に海の中で生息する生物を見られることで、その生物がどんな風に生活しているのか、その生活のために体にどんな工夫がされているのか、主人公や飼育員の言葉やとてもわかりやすいイラストで解説しているので「なるほど!」が止まりません。

ちょうど夏休みに静岡県沼津市にある「沼津深海水族館」に行った双子にとっては「深海」というキーワードがタイムリーなこともあり、「お!これ見た!」などと言いながら、どんどん読み進めます。

第1巻では、「ダイオウイカ」「ダイオウグソクムシ」「ラブカ」「カイロウドウケツ」「マッコウクジラ」が登場します。

実際に自分の目で見たことのある生物から、テレビでしか見たことのない生物まで、この本の中では、じっくりと解説を読みながら、海の中で動いている姿を自分のペースで観察することができるのです。

「ダイオウイカってこんなところに住んでいるんだね…。」

「ダイオウイカとマッコウクジラって食性が似ているんだね…。」

「ダイオウグソクムシってこんな動きをするんだ!」

漫画の中とはいえ、その生物が生きる場所で見ることができる、そして、その生態を知ることができるのは、生き物好きにとってはたまらない喜びでした。

図鑑で学術的に知ることも大切な学びです。

でも、図鑑を読み込むのが得意ではない我が子たち。絵や話の内容から興味を持ち、読み進めることで、その生物を深く理解することができました。漫画で読み込む方が、我が子たちにはぴったりはまっていたと思います。

「やっぱり、その生物が生きているところで、見られるっていいよね。この水族館あったらいいのに。」

「普通の水族館も好きだけど、こんな風に海の中で見られるっていいね。」

と、双子の息子もこの漫画に大満足!続きが気になるようです。

環境に合わせて変化していくことは私たちとも似ている

 深海は太陽の光も届かない場所。そんな場所でも生きている生物がいる。

光がない中で暮らしている深海の生き物の進化は独特で、オリジナリティにあふれています。

物語は一話ごとにその生態とリンクしたお話が繰り広げられます。真っ暗な深海で独自に生きる深海の生物は、環境に順応し合わせながら生きています。

深い海の底の生物の話なのに、その進化は私たちに「自分の置かれた環境でそれぞれに進化していけばいいんだよ…」と教えてくれるようです。

生物の進化を知ることは多様な生態を知るというだけでなく、私たちに一人ひとりオリジナルでいいということを理解することなのかもしれません。

多様性という言葉を聞くようになって久しいですが、同じ海の中でもそれぞれの生物の特性を環境に順応、変化させながら生きていく、それこそが多様性ということなのだと、母にとっても学びになりました。

それは私たちの社会も当てはまります。漫画を読みながら、その多様性に子どもたちが気が付いてくれたらいいなぁと、考えさせてくれる「マグメル深海水族館」でした。