雅な宮廷文化ともののあはれの世界への第一歩「あさきゆめみし」

何を隠そう源氏物語が大好きなわたくし。小学校6年生の頃に読んだ瀬戸内寂聴さんの源氏物語に衝撃を受けてさまざまな作家さんが手がけた源氏物語の現代語訳を読んできました。

源氏物語は高校入試やセンター試験でも出題されることがあるほど、古文の世界でも超頻出。私も幼い頃から源氏物語に慣れ親しんだおかげで、古文の試験で何度も窮地を救われました。できれば娘たちにも同じように日本の古典文学に親しんで欲しい。そして定期試験や入試であわよくば救われて欲しい。こんな親の願いをこめて、娘に「あさきゆめみし」を読んでもらうことにしました。さて彼女の反応はいかに!

あさきゆめみしは、大和和紀作の源氏物語漫画

あさきゆめみしは、『はいからさんが通る』でも有名な大和和紀さん作の源氏物語です。累計販売部数は1800万部を突破。宝塚歌劇団でも舞台化していますし複数の映像化実績もある人気作品です。

現在あさきゆめみしは、「新装版」や「完全版が出版されています。

それぞれのお値段と巻数はこちら。

新装版……1冊1320円/全7巻
完全版……1冊2200円/全10巻

我が家では大型で読みやすい完全版を購入しました!美しい!尊い!

ざっくり説明!あさきゆめみしのあらすじ

源氏物語は主人公の光源氏と、彼を取り巻く女性たちを描く超長編小説。平安時代に宮中に仕えていた紫式部が創作した物語です。源氏物語や与謝野晶子や田辺聖子、瀬戸内寂聴など数々の著名な作家が現代語訳を刊行しています。漫画家作品も多数。その中でもあさきゆめみしは、絵柄の美しさや源氏物語の世界の再現度から高い人気を誇ります。

あさきゆめみしは、光源氏の父母の悲恋からスタート。父親は帝、母親は帝の奥様の1人である桐壺更衣と呼ばれる女性。桐壺更衣は帝の奥様ではありますが、正室ではありません。実家は太かったものの、父が亡くなっているため宮中では他の奥様たちにいじめられて大変苦労します。そして光源氏を出産してからしばらくして体を壊して他界。光源氏は桐壺更衣の美しさを引き継ぎ、世にも美しい皇子として人々の注目の的です。そして光源氏は成長とともに多くの女性と浮名を流して……。

といった具合にお話が進みます。光源氏は、親友の恋人にアプローチしたり継母と関係を持ったりと、女性関係には節操がありません。ストーリーとしては子どもを惹きつけるものではない気もしますが、とにかく世界感が美しい。そしてあさきゆめみしは絵柄がきれい。

お子さんの年齢によっては、慎重になってしまうシーンもありますのでお子さんの理解度やご家庭の方針によって購入を検討したほうがよいと考えます。

漫画が大好き!小4女子の感想「誰が誰かわからないけど慣れたらおもしろい!」

我が家の子どもは小4女児と小1女児。小1女児にはあさきゆめみしは早すぎるので、小4の長女に1巻だけ読ませてみました。

すると冒頭の光源氏の父母のエピソードについては引き込まれるように読んでいたのですが、話が進むにつれてスピードがダウン。どうしたの?ときくと「たくさん同じ顔の人が出てきて区別が付かない」とのこと。たしかに髪型も服装も書き分けが難しい平安時代の宮中物はあさきゆめみしに限らず、人物の判別が難しいです。

すると冒頭の光源氏の父母のエピソードについては引き込まれるように読んでいたのですが、話が進むにつれてスピードがダウン。どうしたの?ときくと「たくさん同じ顔の人が出てきて区別が付かない」とのこと。たしかに髪型も服装も書き分けが難しい平安時代の宮中物はあさきゆめみしに限らず、人物の判別が難しいです。

生身の人間であっても、人の顔と名前を覚えるのが苦手な長女にとっては「同じ顔の人ばかり」と思えるらしく、スムーズに読み進めることはできませんでした。

小4女子はあさきゆめみしから、平安時代の宮中の様子をちょっとだけ学んだ!

長女があさきゆめみしから学んだのは、平安時代の宮中の言葉やしきたり、生活の様子。

「昔は乳母(めのと)が子どもを育てたんだね」「帝はたくさんの奧さんがいたんだね」などと、さまざまな現代の生活と違う点に気付いたようです。

また平安時代の人々の衣服や行事にも少しだけ興味が!「おひな様の服と、桐壺更衣の着物は一緒!」「元服って、成人式のこと?」などと現代にも残る風習と平安時代の風習が少し紐付いた様子。源氏物語の世界感にどっぷりはまったわけではありませんが、「平安時代の暮らしぶり」については少しだけ理解できた様子です。

こうやってちょっとだけでも種をまいておけば、中学生で古文を学んだときに親しみをもって取り組めるはず!と祈っております。

小学校高学年〜中学生女子ならハマるかも!平安文化に親しめる「あさきゆめみし」

あさきゆめみしは人の顔を区別することが難しい長女にとっては少し難しかったのですが、しっかりと人の顔が区別できて、少女漫画を楽しめるお年頃の子どもであれば十分楽しめると思います。男女の恋を中心に物語が展開しますので、気になるシーンもちらほらと。とはいえすでに他の漫画でそういった洗礼を受けているのであれば、問題なく読めるかと思います。「うちの子は漫画は好きだけど古文は苦手」という悩みをお持ちの中学生の保護者さんはぜひ検討してみては?